イベント

GJS Research Workshop 2026年10月例会

“Dialogue among Non-Western Societies” and Modernization: A Comparative Historical Reappraisal of Egypt and Japan

日  時:2026年10月2日(金)17:00~18:30
会  場:大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構 実験棟1F サイエンス・コモンズ Science Studio A(ハイブリッド開催)
開催言語:日本語

参加登録:https://forms.cloud.microsoft/r/HXB1y24A7H

【講演】
アーデル・アミン・サーレ教授(カイロ大学文学部 教授・国際日本文化研究センター 外国人研究員

【ディスカッサント】
仲尾 周一郎(大阪大学大学院人文学研究科外国学専攻 准教授)

【趣旨】
本本報告は、「非西欧社会間の対話」という視角から、エジプトと日本の近代化経験を比較史的に再検討することを目的とする。従来の近代化論は、西欧を起点とする制度・技術・知識の一方向的移転モデルを前提としてきた。しかし本研究では、非西欧社会相互の参照関係に着目することで、近代化の多元的な展開過程を明らかにする。
19世紀初頭のエジプトにおけるムハンマド・アリー体制は、軍隊の西洋式改革、国営工業(繊維・兵器産業)の育成、近代的教育制度の整備、さらに欧州への留学生派遣による知識・技術の導入などを通じて、非西欧世界における先駆的な近代化を推進した。また、スエズ運河建設や混合裁判所の設置にみられるように、その制度形成は国際資本および欧州列強との関係の中で進められた。この意味でエジプトは、非西欧における近代化の「先行モデル」と位置づけることができる。
これに対し、半世紀ほど遅れて本格的な近代化を開始した日本は、明治維新以降、欧米諸国の制度を選択的に導入し、それらを国内の社会・政治構造に適合させながら再編した。その過程においては、エジプトを含む先行的な非西欧事例から一定の示唆を得ていた可能性がある。とりわけ、エジプトが財政的従属を深め、最終的に列強の支配下へ組み込まれていった経験は、日本にとって近代化を推進する際の重要な参照事例となったと考えられる。日本は、立憲体制の確立、近代軍隊の整備、産業化と資本主義の発展、教育制度の全国的普及、地租改正などの諸改革を相互に連関させながら進めることで、国家の自律性を維持しながら近代化を達成し、非西欧における代表的な「成功モデル」となった。
本報告では、エジプトの「先行モデル」と日本の「成功モデル」との関係を、時間的連続性と相互参照性の観点から再検討する。その分析を通じて、近代化を単なる西欧的制度の受容過程としてではなく、非西欧社会が互いの経験を比較し、参照し、修正しながら展開した動態的プロセスとして捉え直すことを提起したい。

2026.08.25