連携

国際連携

グローバル日本学教育研究拠点の国際連携

大阪大学は、人文学研究科日本学専攻、日本語日本文化教育センターをはじめ、各部局に、全国有数の規模で、日本に関係する教育・研究を行っている研究者を擁しています。この人的リソースを部局横断的に組織化し、より高度な教育・研究を学際的・国際的・社学連携的に展開することにより、日本に関係する教育・研究の拠点化を図ることは、大阪大学グローバル日本学教育研究拠点の目的です。なかでも、国際的な教育研究ネットワークの構築と拠点形成が本拠点の重要な役割です。

世界における日本研究と本拠点の位置づけ

当然のことながら、日本研究は、日本においてのみ行われているわけではありません。世界には、日本研究、あるいは日本研究を含むアジア研究を主題とする国際的な学会が、地域ごとに存在しています。日本研究の博士後期課程を擁する拠点的な教育研究機関は、北米・(英国を含む)西欧・オーストラリア・東アジアに多数あります。北米・(英国を含む)西欧などでの日本研究の国際的対話は英語を基本としており、東アジアでの日本研究の国際的対話は日本語ベースで行われることが一般的です。

本拠点がグローバルな教育研究拠点としての使命を達成するため、このような国際的学術環境のなかで緊密なネットワークを構築し、そのハブとなりプレゼンスを発揮することが求められています。本拠点ではこれまで、東アジア、北米やヨーロッパにおける国際的な教育や研究の主要な拠点となっている大学の部局や研究センターと学術交流協定を締結してきました。そこで、2025年には、アフリカ、中東やラテンアメリカの主要な日本研究機関とのネットワーク構築に注力しました。

国際的ネットワーク構築に向けた今年の取り組み

本拠点では、すでに述べた国際的学術環境のなかでプレゼンスを発揮するために、年1回の国際シンポジウムや月1回のワークショップの開催、国際的共同研究の公募・採択・支援、国際的研究発信力を高めるための教育プログラムの運営などの事業を行っています。下の地図では、これらの活動を通して構築しつつある国際的ネットワークを視覚化しています。

本拠点の国際連携は、アジア研究や日本研究の国際的学術組織がすでに確立している地域、すなわち、北米、ヨーロッパ、東アジアなどに所在する諸機関との関係を中心に進められてきました。そのうえで、教育と研究をめぐる本拠点のグローバルなネットワークを新たな方向へ発展させるべく、今年はアフリカ、中東やラテンアメリカにおける日本研究の国際的な拠点とのネットワーク構築にとりわけ尽力しました。さらに、引き続き北米、ヨーロッパと東アジアにおける日本研究の国際的な機関との連携強化を図りました。

協定校

  • ブリティッシュ・コロンビア大学人文学部東アジア研究学科
  • メキシコ大学院大学アジア・アフリカ研究センター
  • ライデン大学人文学部
  • ハイデルベルク大学東アジア研究センター
  • ナポリ東洋大学

協力校

  • ハワイ大学マノア校日本研究センター
  • サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部東洋文学科
  • 東アジア日本研究者協議会関係校
  • メルボルン大学アジア研究所

アフリカ、中東やラテンアメリカでは、修士課程までしか教育プログラムがない機関も多いですが、これらの地域において近い将来にアジア研究・日本研究が全面的に展開されることが期待されています。このような地域とのネットワーク構築と連携強化も、本拠点の重要な課題です。そこで、アフリカ日本学会(African Association for Japanese Studies)との連携強化を図る拠点形成プロジェクト「Learning from and Promoting the African Association for Japanese Studies」(代表者:ガデミ アミン、人文学研究科准教授)を新規に採択しました。この拠点形成プロジェクトと本拠点の共催で、12月13日(土)に「Globalizing Japanese Studies in the Age of the Rising Global South」という国際シンポジウムを大阪大学箕面キャンパスで開催しました。ナイジェリア、エジプトとブラジルにおける中核的な日本研究組織や機関からの登壇者を招き、それぞれの地域における日本研究の現状、関心の所在や展望についてご報告いただきました。これを通して、各地域における研究や教育の背景、特徴や課題について相互の理解を深め、連携するきっかけを創り出すことを目指しました。2026年以降も、この機会に得た問題意識、具体的な課題やつながりをより継続的・体系的に発展させるべく、拠点形成プロジェクトの活動や国際学術イベントの開催に力を入れて、グローバル・サウスとのネットワーク構築の基盤を固める考えです。

そのような中で、本拠点によるグローバル・サウスとの連携は、ラテンアメリカ地域から具体化しつつあることを特筆しておきたいと思います。2024年の活動を引き継ぐ形で、ラテンアメリカやスペイン語圏でアジア研究・日本研究の教育や学術活動において中心的な役割を果たしてきたメキシコ大学院大学アジア・アフリカ研究センターと部局間学術交流協定を締結しました。7月9日には、同センターのホセ・アントニオ・セルベーラ センター長が、大阪大学吹田キャンパスを訪問し、本拠点の拠点長などと今後の具体的な教育研究上の連携強化について展望を共有したのち、学術交流協定への署名を行いました。今回の協定締結は、2024年12月19日に同センターのマティアス・チアッペ教授が大学院生とともに来訪した時に行った月例ワークショップの延長に実現しました。また、本拠点兼任教員の岸本恵実教授(人文学研究科)が8月から9月にかけてブラジルに滞在し、サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部東洋文学科で集中講義をしました。さらに、岸本教授とファクンド・ガラシーノ本拠点特任講師が9月10日から12日にかけてマナウス市のアマゾナス連邦大学で開催された第15回ブラジル日本研究国際学会に参加し、研究報告を行いました。そして9月13日に同市で開催された「日本留学フェア in 西部アマゾン日伯協会」に参加して、大阪大学を紹介しました。2026年においても、日本研究に関するラテンアメリカの主要な機関との教育・研究活動をさらに充実・拡大させることによって、グローバル・サウスにおける本拠点の存在感を高めていく所存です。

国際シンポジウム「Globalizing Japanese Studies in the Age of the Rising Global South」(2025年12月13日)討論の様子

一方、東アジアの教育研究機関との連携においては、東アジア日本研究者協議会へのかかわりを軸に展開しました。同協議会は、東アジアを拠点とする多様な分野の日本研究者に国際的な研究発表、議論と交流の場を提供することを目的としています。そこで今年は、10月31日から11月2日にかけて韓国・翰林大学(江原特別自治道春川市)で開かれた第9回国際学術大会の運営委員会に拠点として出席しました。台湾、韓国、中国や日本の大学や研究機関等の参加者とともに東アジアにおける日本研究の現状と展望について議論をしながら、同地域でのネットワーク強化を図りました。

また、ハワイ大学マノア校を中心に、今年も引き続き北米地域との連携強化に努めました。2024年7月開催の月例ワークショップにご登壇いただいたAndre Haag助教授とのご縁を活かし、2月中旬に副拠点長の宇野田尚哉教授らがハワイ大学マノア校を訪問して、東アジア言語文学科の関係者と今後の部局間協定の可能性や連携の具体的な方針について話し合いました。その後、7月には、同学科の博士課程に在籍しながら本学人文学研究科の招へい研究員でもあるJoseph Iseri氏を迎えて月例ワークショップを開催しました。そして9月の月例ワークショップでは、ハワイ大学講師のBrandon Marc Takashi Higa氏にご登壇いただきました。このような具体的な研究交流を基盤として、今後ともハワイ大学をはじめ北米の主要な拠点とのネットワーク構築を強化していく所存です。

月例ワークショップ7月例会「Socialization in the Transitions」報告の様子

なお、ヨーロッパとの連携にも引き続き携わっています。2025年7月15日にナポリ東洋大学と部局間学術交流協定を締結しました。さらに、7月23日にはワルシャワ大学東洋学部のスタレツカ・カタジナ准教授が来訪されました。その際、中欧におけるアジア研究・日本研究の拠点的機関である同学部についてご紹介いただくとともに、本拠点との教育研究上の連携強化について意見交換を行い、引き続きさまざまな可能性を探ることとなりました。

今後の展望

グローバル・サウスとも称されるアフリカ、中東やラテンアメリカなどでは、諸地域間の格差や不均衡という問題を含みながらも、全体的に見れば今もなお大学進学率が増加しています。また、アジア研究・日本研究をめぐる教育・研究機関の現状も極めて多様でありながらも、これから日本語や日本文化の学習者と研究者が増えていく大きな可能性を秘めているという点において、共通していると言えます。本拠点では、このような可能性を確実なものにするため、今後ともグローバル・サウスの主要な機関や組織とのネットワーク構築にとりわけ尽力していきます。そのための具体的な方法として、2026年にはラテンアメリカと東南アジアの大学と共同での国際シンポジウムの開催を検討しています。今後とも本拠点の国際連携にご理解とご協力をいただければ幸いです。