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2025.09.16

本拠点副拠点長 岩井茂樹教授(日本語日本文化教育センター: CJLC)の著書『歌銘茶道具の世界』が刊行されました。

『歌銘茶道具の世界』岩井茂樹

茶の湯の世界には、銘の付いた茶道具がたくさんあります。その中には和歌から銘が付けられたものも少なくありません。こうした茶道具を歌銘茶道具と呼びます。
歌銘茶道具を多く付けた茶人は、小堀遠州と松平不昧という人物です。これらの人はどのようにして和歌を選んだのでしょうか。本書は主にこの点について論じたものです。
従来の研究では、彼ら茶人たちは勅撰和歌集や伊勢物語、あるいは源氏物語から選んだのだとされてきました。ですが、丁寧に調べた結果、彼らはもっと自由に、そしてネタ本ともいうべき歌集を用いて選歌をしていたのです。
本書では、こうした茶の湯における和歌の選歌方法を明確化すると同時に、その類想世界がどのようになっているのかをKHコーダーというソフトを用いて分析しました。と同時に、他に和歌を素材としている香銘、椿の名、謡曲の引歌などと比較し、その共通点と相違点を明らかにしています。つまり、茶の湯、香銘、椿の名、謡曲の世界観の共通性と独自性が本書から垣間見えるのです。

<本書の構成>
序章
第一章:歌銘茶道具の種類と特徴
第二章:小堀遠州の歌銘茶道具の特徴
第三章:松平不昧の場合
第四章:遠州と不昧の違い−共起ネットワークから見えてくるもの
第五章:歌銘と香銘の違い
第六章:『百椿集』の場合−椿の世界
第七章:謡曲の世界
終章