拠点形成プロジェクト
デジタル人類学で拓く
「デジタル日本学」教育のグローバル展開
プロジェクト代表者
菅原 裕輝
大阪大学大学院人文学研究科人文学林・講師
本プロジェクトの目的は、デジタル技術と人文社会科学(特に人類学)を融合させた新たな教育コンテンツを開発し、それを国内外に展開することである。ウェブページやソーシャルメディアのエスノグラフィといったデジタル人類学の手法を題材とし、人文社会科学の知見とデータ駆動型の分析技術を結びつけた教材を作成する。これにより、人文社会科学領域の学生・研究者がデジタル技術を活用した研究方法論を体系的に習得できるよう支援するとともに、デジタル人類学の観点から高度な「デジタル日本学」教育を実現することを目指す。また、人文社会科学系の教員・大学院生によるデジタル技術導入を促進する教育基盤を構築し、学内外・国内外の教育・研究水準向上にも資することを目的としている。
本プロジェクトの意義は、人文社会科学におけるデジタル・トランスフォーメーションを教育の面から促進する点にある。従来、人文学系研究者にとってデジタル手法の導入はハードルが高かったが、本プロジェクトでは初学者でも取り組める教材を整備し、人文学とデジタル技術の架け橋となる役割を果たす。また、アムステルダム大学 などとの国際連携により、教育コンテンツの質を国際水準に高め、本学が国内外におけるデジタル人類学教育の先導的拠点となる基盤を築くことが期待される。さらに、日本語テキストや日本の文化・メディア・地域社会の現状を題材とすることで、日本学分野におけるデジタル手法の適用を推進し、国際的な日本研究の深化にも資すると考えられる。加えて、本学も参画している「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」と協働し、研究データの収集から分析・共有に至るライフサイクル全体で人文系データの活用を支える教育インフラの強化にもつながる。
本プロジェクトにより、デジタル技術の人文社会科学への導入や、デジタル人類学に関する教育コンテンツが体系的に整備され、広く共有されることが期待される。2025年度に作成した教材を2026年度から学内で公開し、本学の学生・教員が利用できる教材環境が構築される。また、2027年度(3年目)までにデジタル人類学の方法論を体系化し、教材としてPDF等で公開することで、学外の研究者・学生などとも知見を共有できる。具体的な成果として、OUKAでの教材PDFおよび画面録画をつかったチュートリアル動画の展開が実現し、教材への広範なアクセスが可能となる。さらに、文献情報管理ツールのZoteroなどの基本ツールの活用から高度なデータサイエンス手法まで段階的に学べる教材群が完成し、人文社会系研究者・学生のデジタル技術習得に寄与する。加えて、3日間の対面型データスプリント(ハンズオン形式の共同型ワークショップ)イベントの開催によって実践的な学習機会が提供され、学内外におけるデジタル人類学コミュニティの形成が促進される。本プロジェクトで開発された教育コンテンツは、研究データエコシステムにおける教育モジュールとしても活用され、人文社会科学研究へのデータ駆動型アプローチ普及に貢献することが期待される。
| プロジェクト構成員 | ||
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| 学内 | 菅原 裕輝 | 大阪大学大学院人文学研究科人文学林・講師 |
| 神崎 隼人 | 大阪大学附属図書館研究開発室・助教 | |
| 甲斐 尚人 | 大阪大学D3センターデータビリティプラットフォーム研究部門・准教授 | |
| 鈴木 和歌奈 | 大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻・講師 | |
| 学外 | 内尾 太一 | 静岡文化芸術大学文化政策学部・准教授 |
| 山﨑 真帆 | 東北学院大学情報学部データサイエンス学科・講師 | |
| Rens Wilderom | University of Amsterdam, Faculty of Social and Behavioural Sciences, Lecturer | |
| キーワード | デジタル人類学、デジタル日本学、デジタル・メソッド、教育コンテンツ開発、研究データエコシステム、国際連携 |
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